くしゃみをするとクリスチャンは優しいが母親は厳しい
ここ数日はBebeと一緒に実家に帰っていた。
車で1時間ぐらいで帰れるのでしょっちゅう行くのだが両親と祖母はBebeが大好きなので、いつでもWelcome状態である。
実家は古い家なのでホコリやハウスダストが縦横無尽に飛び交っており、アレルギー性鼻炎という大病を患っている俺にとっては春の花粉よりこの家の方が恐ろしい。
案の定、コタツに入りヌクヌクしていると鼻がムズムズして来た。
鼻に違和感を感じティッシュを詰め込むも、時すでに遅し。
早くも"ツボ"を攻められたらしく、くしゃみが止まらなくなった。
ティッシュはどこかに飛んで行ってしまい、それと同時にBebeの悲鳴が聞こえた。
すると対面で映画の予約録画をしていた母が一言
『うるさいわね!!』
と言ってきたのである。
息子の大敵であるハウスダストを野放しにしているせいでくしゃみを発症し、二次災害としてフィリピン人が叫んでいるのである。
この責任をどう取らせるべきか。
ティッシュという弾丸を鼻に詰めて散弾銃のごとく発射することで黙らせるというやり方もあったが、少々大人げないのと悲鳴が増える可能性もあったので止めた。
もう1つは武力行使では人は変わらず、憎しみだけが残るということを俺は知っているからである。
そこで思いついたのが"北風と太陽"のごとく、諭すことで自分自身で自分の過ちに気付いてもらうことである。
以前、フィリピンでくしゃみをしたときに近くにいたフィリピン人が
『God Bless You!』(訳:お大事に!)
と言ってきたのである。
うるさい!とけなすのではなく、相手のことを気にする文化。
これこそが本当のお・も・て・な・し・ではなかろうか。
(これだ!)と思い、愚かな母にフィリピンではくしゃみをするとみんな心配してくれるんだ、うるさい!とか野蛮なこと言わないんだ。
と諭したが、母は
『あっそ( ̄ー ̄)みんな優しいわね』
と吐き捨てて去って行った。
人間を助けるために地球に来たがその人間によって処刑されてしまったキリストだが、処刑されるときにこう言ったらしい。
『神よ!彼らを許したまえ!彼らは何をしているのかわかっていないのです』
そんな彼の気持ちが少しわかった肌寒い夜であった。